■ノマドのユートピア
■ルネ・シュレール 杉村昌昭訳
ユートピアは未来に位置しているのではない。昨日にもありえたし今日にもありえる。それは永遠の時をもつものではなく「時ならぬもの」である。
ユートピアはつねに「歴史の犠牲者」や、「歴史から忘れられた者」のために書かれる。それは今日においては、世界システムによって押しつぶされた人びと、排除された者、追放された者、地下生活を強いられたものたちが当てはまる。
ユートピアはその意味でノマドなのである。
ユートピアは家をもたない者、国をもたない者に語りかける。抵抗や欲望の表明が求められる地点から、その地点がみずから求めるたびごとに移動する。
ユートピアの原理、中心、議論は「歓待性」である。「歓待性」とは、他者に向かって歩み、絶えずみずからを開いて他者を需要するということである。
われわれが生きている世界は人間、動物、植物、大地、または感情や欲望、愛に対する「歓待性」を実践することができないために消耗し、衰弱しつつある。
移りゆくユートピアの背景に潜む「歓待性」についてのフランスの哲学者 ルネ・シュレールの考察。
Selected & Reviewed by GUSSAN